シャープは2012年9月27日、プラズマクラスター発生器を内蔵する美容家電シリーズを発表した。ラインアップと発売日、予想実勢価格は以下の通りだ。
・プラズマクラスターチャーム「IB-CH12」 11月上旬発売予定 予想実勢価格1万6800円程度
・プラズマクラスターミスト「IB-MT12」 11月上旬発売予定 予想実勢価格2万1800円程度
・プラズマクラスターデスクトップモイスチャー「IB-HU32」 11月上旬発売予定 予想実勢価格1万4800円程度
・プラズマクラスタースチーマー「IB-ST72」 12月上旬発売予定 予想実勢価格3万1800円程度
・プラズマクラスター ベッドサイドモイスチャー「IB-BS12」 11月上旬発売予定 予想実勢価格2万1800円程度
以上5機種に、9月20日発売のプラズマクラスタードライヤー「IB-HD92」(実勢価格1万9800円程度)、「IB-HD52」(同1万4800円程度)を加えた全7機種のラインアップとなる。
すでにプラズマクラスタードライヤーやデスクトップ向けプラズマクラスター発生器などは発売していたが、今回のラインアップによって本格的に健康美容家電事業の展開をスタートすることになる。
日常で身に着けられる「チャーム」が核
新モデル5機種のなかでシャープが商品の核として据えているのが「プラズマクラスターチャーム IB-CH12」だ。プラズマクラスターイオン発生器やエアコンなどに搭載されている「プラズマクラスター25000」発生ユニットを内蔵。クリップでスーツのポケットなどに留めることで、顔などの部分を中心にイオンケアができる。
シャープ 健康・環境事業本部 プラズマクラスター機器事業部 健康美容事業推進センターの六車智子所長は「30cm以内だと1立方センチあたり約10万個のプラズマクラスターイオンがあり、肌のうるおいを保てる」という。
ミスト発生器やデスクトップ用やベッドサイド用のイオン発生器、週末の肌ケア用スチーマーなどの利用シーンをつなぐ、日常的なケアの中心としてプラズマクラスターチャームを据えているとのことだ。
「プラズマクラスターミスト IB-MT12」は、化粧水をミスト状にして放出するミスト発生器とプラズマクラスター発生器を合体し、スキンケアをしながらプラズマクラスターイオンによる保湿も行うという。コーセー化粧品の人気化粧水「雪肌精」を推奨しており、ほかの化粧水には対応していない。
六車所長は「ミスト状にしやすい化粧水をいくつか試した。使いやすい化粧水のメーカーに複数社打診し、最終的にコーセー化粧品さんとコラボレーションすることになった」と語る。
「デスクトップモイスチャー IB-HU32」は、気化式加湿器とプラズマクラスターイオン発生器を組み合わせたモデルだ。水分子を帯びたプラズマクラスターイオンに気化した水分子をまとわせることで、イオンを覆う水分量が約1.7倍にアップするという。ACアダプターに加えてUSBケーブルでの給電もできるため、パソコンの隣に置いて使うといったこともできる。パソコンの電源と連動してオン・オフする「運転自動復帰」機能も備えている。
「プラズマクラスタースチーマー IB-ST72」は、スチーム美顔器にプラズマクラスターイオン発生器を付けたもの。スチームとイオンを同時に浴びながら、顔のクレンジングや保湿ができる。5分/10分/15分のスチーム経過時間が分かる「カウントアップランプ」が付いており、ちょっとした空き時間を使って効率的にスキンケアできる。ベッドサイドに置いて、寝ている間にイオンケアする機能も搭載している。
「ベッドサイドモイスチャー IB-BS12」は、寝ている間にイオンケアするための機器だ。200ルクスのLEDライトも付いており、枕元に置いて寝る前の読書などに使える。
目に見えないイオンの効果をドライヤーが“見える化”
ADKが2012年2月に実施した「美容家電マーケットポテンシャル調査」によると、美容家電のユーザー所有率は約20%と低く、非所有者の約60%が「使ってみたい」「まあ使ってみたい」と答えたという。
だが同調査では一方で、使用しない主な理由として「使用や手入れが面倒」に加えて「効果が信用できなそう」「怪しい商品が多い」といった意見が上がっている。
そこでシャープは実証実験やユーザーテストなどを通じて効果を証明するとともに、医学研究者やヘアメイクアーティストなどのお墨付きによって信頼性を確保しようとしている。
それに加えて、六車所長は「プラズマクラスタードライヤーが効果の実証に役立っている」と語る。
プラズマクラスターに限らず、イオン発生機能ははその効果が見えづらい。だがドライヤーは数多くのイオンを至近距離から強風で吹き付けるため、「静電気が除去される」とか「髪の指通りがよくなる」といった効果がすぐに実感できる。これが販売サイドからもかなり好評を得ているとのことだ。
“ブドウの房”マークが、先行するパナソニックと戦うカギ
シャープのプラズマクラスターは、美容家電分野で先行するパナソニックの「ナノイー」と真正面からバッティングする技術だ。シャープが「除菌・消臭効果」を軸にブランディングを展開していたのに対し、パナソニックは「保湿効果」からスタートしての「除菌・消臭効果」に広げていった経緯がある(※)。
※パナソニックは2003年発売の空気清浄機「エアーリフレ nanoe EH3000」からナノイー機能の搭載を開始しているが、ブランド戦略としては美容向けの保湿効果を前面に押し出していった。
美容家電としては20年以上(ドライヤーも含めると数十年以上)の歴史を持つパナソニックに対抗するのは、相当厳しい戦いになることが予想される。だが、そこで「プラズマクラスター」のブランド力が大きなカギを握る。
プラズマクラスターは2000年9月に発売した空気清浄機を皮切りに、数多くの機器に搭載されてきた。黒地に白いブドウの房を模したプラズマクラスターのロゴマークは、かなり多くの消費者に認知されて。シャープの調査によると、2011年にはブランド認知度が80%を超えたという。
プラズマクラスターはシャープの電化製品だけでなく、自動車のエアコンや車載空気清浄機、ガスファンヒーターやエレベーターなど、さまざまな他社製品にも搭載されている。2012年6月末にはプラズマクラスター搭載機器が累計4000万台を達成しており、多くのユーザーから支持されている。
この強力なブランドを生かして新たな市場に食い込むため、同社がロゴマークのデザインをてこ入れしたのに注目したい。
六車所長は「従来のプラズマクラスターのロゴは黒地に白いブドウだったため、美容家電にはあまりそぐわない。そこで新たなロゴデザインを起こした。サイズをコンパクトにしたの『PLASMACLUSTER』の文字をマークの上に出し、背景をシルバーにした。ほかの事業部から新しいロゴマークを使いたいという要望も出たが、このロゴマークは美容家電にだけ使うために断った」と語る。
エアコンや空気清浄機などの分野では確固たる「プラズマクラスター」ブランドを築いたシャープが、美容家電の分野でどのようにプレゼンスを高められるのか。
先行するパナソニックは「ナノイーイオン」などを利用したフェースケア機器だけでなく、光美容器や脱毛・除毛器などのボディーケア機器、ナノイー搭載ヘアドライヤーや頭皮エステなどのヘアケア機器などかなり幅広いラインアップを展開している。
恐らく今回のラインアップはまだスタート地点で、シャープは今後さらにラインアップを拡充する計画を立てていることだろう。商品の展開とそれによるブランド力の向上が、美容家電分野でシェアを取る大きなカギとなるはずだ。
(文・写真/安蔵 靖志=IT・家電ジャーナリスト)